中和抗体について

人がウイルスに感染すると、生体内で抗体と呼ばれる防御因子が作られるようになります。

抗体は免疫グロブリンというタンパク質で、体内に入ったウイルスのさまざまな部位を特異的に認識して結合する抗体を作り、排除するように働きます。 その中でもウイルスの活性に重要な部位に結合してその機能を阻害し、ウイルスを不活性化する能力を有する抗体は「中和抗体」と呼ばれます。

新型コロナウイルス感染回復者に関するアメリカや中国の報告では、ほとんどの人が回復後に抗体を保持していることが明らかにされました。特に中国の発表では94%の人が中和抗体を持っており、感染の終息や予防に働く免疫能力が獲得されたことが示されています。

中和抗体と結合抗体の違い

病原性粒子に結合するすべての抗体が中和抗体というわけではない。非中和性抗体(すなわち結合抗体)は、粒子にフラグを立て、標的化されたことを免疫細胞に知らせる重要な役割を果たします。その後粒子は処理されて、その結果動員された免疫細胞によって破壊されます。一方で中和抗体は、免疫細胞を必要とせずに抗原の生物学的効果を中和することができます。

中和抗体のワクチン接種による医学的使用

中和抗体は、ワクチン接種による能動免疫において役割を果たします。

自然免疫応答における中和抗体の結合部位と構造を理解することで、結合抗体ではなく中和抗体を産生するよう免疫系を刺激するように、ワクチンを合理的に設計することができる。効果的なワクチンは、ウイルスの変異体の大部分を中和することができる抗体の産生を誘導するが、抗体回避をもたらすウイルスの突然変異には、それに応じてワクチンを更新する必要性があります。例として、インフルエンザウイルスのワクチンのように、ウイルスの最近の循環株を考慮して毎年更新しなければなりません。

抗体検査キットと抗原検査キットの違い

抗体検査は、過去にウイルスに感染していたか、抗体ができているかを調べる検査です。

ウイルスに感染すると形成されるタンパク質(抗体)が血液中に存在するかを調べるため血液検体を使用します。体内に抗体ができるまでには時間がかかり、現在そのウイルスに感染していないことの検査に用いることは難しいとされています。ウイルスに感染以外にワクチンを打ったことによって抗体ができた場合にも陽性となります。


抗原検査は、ウイルスのタンパク質の一部である抗原を検出する検査です。鼻腔等拭い液、咽頭拭い液、唾液のいずれかを使用します。インフルエンザの検査時はこの抗原検査を行っていることが多いです。感染2日目より確認が可能で、PCR検査に比べ結果まで30分以内と判定が早く、現在感染しているかどうかを調べることができます。


PCR検査は、検査したいウイルスの遺伝子を専用の薬液を用いて増幅させ検出させる検査です。鼻腔咽頭拭い液を使用し、発症から9日以内であれば唾液検査も可能です。感染してから発症する数日前より検出可能とされています。検体採取をした場所にウイルスが存在しなかった場合などは陰性となってしまう場合があるため、検査機関によってはウイルス検出できなかったケースを「陰性」とはせず「検出せず」と表現する場合もあります。

新型コロナワクチンについて

国内のワクチン接種の状況

2021年2月17日より医療従事者4万人に対し、1回目のワクチン接種が開始されました。続く医療従事者の接種は3月初旬より順次行われ、65歳以上の高齢者3600万人を対象とした接種は、3月中に接種に必要な書類が個別に郵送され、4月より接種開始される予定となっております。国内供給量に限りがあるため限定的にスタートし、その後に基礎疾患がある人や高齢者施設等の従事者を優先して接種する計画となっています。接種費用については国が全額負担するため無料です。接種する場所は市区町村が定めた医療機関や公共施設などが接種会場となります。

ワクチン概要

現在国内で承認使用されているのはファイザー社製メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の設計図となるmRNAを脂質の膜に包んだ製剤になります。本剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられています。

接種対象者

ワクチン接種はなるべく行うよう呼びかけられておりますが、強制ではありません。感染予防の効果と副反応のリスク両方を理解した上で、自らの意思で接種することができます。受ける方の同意なく接種が行われることはありません。現時点では小児に対するワクチン接種は推奨されていません。発熱等の体調不良、重い基礎疾患、アナフィラキシー症状が出た方などは接種を控えるべきとされており、服薬中の方や妊娠中および授乳中の女性、過去に予防接種を受けてアレルギー症状が出た方は注意が必要とされています。

接種回数

現在医療従事者向けに先行接種されているファイザー社のワクチンでは、2回の接種が必要です。1回目の接種から3週間後に2回目の接種を受けます。ファイザーのほか、政府が供給契約を結んでいる米モデルナ社や英アストラゼネカ社のワクチンも2回接種が必要です。

1回だけでは効果が不十分な可能性があるためです。臨床試験(治験)では2回接種した場合の発症予防効果は95%とされています。河野行政改革担当相が接種のやり方を見直す可能性を示しているものの、現在は2回接種を前提に承認されています。

また、海外では3回目の追加接種の効果における臨床試験もすでに開始されております。

ワクチン開発の現状と種類

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発は、国内・海外において数多くの企業や研究機関による開発プロジェクトが急ピッチで進められています。WHO(世界保健機関)の調査によると、現在臨床試験に入っているワクチン候補は70種類以上にのぼり、このほか180種類以上が臨床試験前の段階にあり、様々な種類のワクチン開発が行われています。

ワクチンの種類(タイプ)

1.弱毒化ワクチン……病原体そのものを弱毒化させ、「生きた」まま投与する。

2.不活化ワクチン……病原体そのものを感染しないよう「殺した」状態で投与する。

3.組換えワクチン……病原体の一部のタンパク構造を抽出あるいは合成して投与する。

4.ベクターワクチン……病原体の設計図を別のウイルス(ベクター)に乗せて投与する。

5.DNAワクチン……病原体の設計図の一部をDNAに乗せて投与する。

6.mRNAワクチン……病原体の設計図の一部をMessenger RNAに乗せて投与する。

1〜3の従来使用されているワクチンは、新型コロナウイルスの一部やタンパクを人体に投与し、それに対して免疫が出来る仕組みです。しかしこの方法は開発や製造に非常に時間がかかるという問題点があり、今回のようなパンデミックに素早く対応できません。

そこで今回開発された4〜6のワクチンでは、新型コロナウイルスの遺伝情報をそれぞれmRNA、DNAプラスミドとして、あるいは別の無害化したウイルス等に入れて人体に投与することで細胞がウイルスのタンパク質を作り、それに対して免疫が出来る仕組みの「遺伝子ワクチン」が採用されています。

現在日本国内で先行接種が開始されたファイザー社・ビオンテック社製ワクチンはmRNAワクチンです。モデルナ社、アストラゼネカ社は国内承認申請中で、近日中の承認が見込まれています。

日本国内の海外ワクチン実用化における現在の状況

・ファイザー社(米)mRNAワクチン→承認済

・モデルナ社(米)mRNAワクチン→承認申請中

・アストラゼネカ社(英)ウイルスベクターワクチン→承認申請中

ワクチンの効果について

ワクチンの有効性は100%ではありません。すでに各国で接種が開始されている米ファイザーと独ビオンテック、そして米モデルナのワクチンはどちらも、2回の接種が有効性は約90%以上と報告されています。一般的にインフルエンザワクチンの有効性は50%程度といわれておりますので、比べると非常に高い有効性が認められますが、必要とされている2回の接種を受けても、感染して発症する危険性が完全になくなるわけではありません。

厚労省では新型コロナに感染歴のある人も、免疫の持続期間は分かっていないためワクチン接種を2回受けるよう勧めています。一方、ワクチン需要の高まりを受けて、フランスは新型コロナに感染した人には1回の接種を推奨しています。感染後の免疫反応が1回目の接種に代わりうるというのが理由ですが、効果は不透明でありワクチン接種の効果持続期間は明らかになっていません。世界保健機関(WHO)は「長期的な効果については追加の調査が必要」としています。

ワクチン接種後の効果発揮まで

ワクチンのメッセンジャーRNA(mRNA)が免疫細胞に取り込まれ、細胞がmRNAの設計図を使って抗体を作り始めるまでには10〜14日、またはそれ以上かかる場合もあります。抗体ができるまではワクチンによる保護効果は十分といえません。14〜28日の抗体陽性率は約60%〜90%、接種後28日間で抗体陽性率が90%以上に達するといわれています。新型コロナウイルスの潜伏期間は2〜14日とされていますので、ワクチンを接種した後でも、接種前もしくは接種から効果が出るまでにウイルス感染するということも考えられます。

防ぐのは「感染」ではなく「重症化」

ファイザー社を含むすべてのワクチンについて、これまでの臨床試験の結果で明らかになっているのは、感染者の重症化リスクを抑制できるということです。感染そのものを防ぐ効果がどの程度あるかについてはまだ明確にされていません。免疫学的耐久性は現在も継続的に観察されており、ワクチンの持続期間は少なくとも半年以上であることは証明されておりますが、それ以上の事はまだ明らかになっていません。

変種ウイルスや他国のウイルスに対する有効性

アメリカ、イギリス、ロシア、オーストリアなどの多国籍変異ウィルス株に対して交差中和試験を行った結果、ワクチンの効果に大きな影響はないとしていましたが、南アフリカやブラジルなどで感染拡大している変異株に対してワクチン接種者の血清を使って実験したところ、従来のウイルス株より中和活性が3分の1に低下したとの発表があり、有効性が低下する可能性が明らかとなりました。現在は3回目の追加接種に加え、変異ウイルスに対応したワクチン臨床試験も検討されております。

ワクチン接種後の血清抗体検査は陽性となるか

ワクチンの作用は生体を刺激して抗体を産生することであり、免疫手順によって二つの新歯冠不活化ワクチンを接種した28日後のI/II期臨床試験及び緊急接種の人群に対して、抗新歯冠ウイルス抗体はすべて陽性であると示されています。抗体は機体が抗原の刺激による産生した保護作用を有する蛋白質であり、抗体の重鎖による5種類(IgM、IgD、IgG、IgAとIgE)である。その中のIgGとIgMは重要な保護性抗体であり、IgMは機体が感染免疫を抵抗する「先頭部隊」、 IgGは機体が感染を抵抗する「主力軍」と位置づけられ、IgGとIgMの検査・測定は常に感染診断の重要な血清学的指標に使用されています。中和抗体を検出する条件が整っていない一般的な検査法 (コロイド金を用いた抗体検査キット等、酵素結合免疫吸着試験など)でIgM, IgG抗体を検出できたとしても陰性になる可能性がありますが、これは主として試験方法の感度に依存するもので、必ずしも中和抗体の免疫応答がないわけではありません。

報告されている副反応

これまでに報告されているファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチンの治験では重篤な副反応はないとされていますが、海外ではアナフィラキシー反応の発症例も報告されています。さらに妊婦や小児、免疫不全患者などでの安全性や有効性についても確認がされていません。新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性もあります。接種部の腫れや痛み、倦怠感、頭痛、発熱については頻度が高いですが、早期回復することが臨床結果で報告されています。ワクチン接種は一般に副反応のリスクも懸念されますが、すでに承認した国々ではそれを上回る利益(ワクチンの有効性)があると考えられるため、リスクを考慮しつつ実施されています。ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による予防接種健康被害救済制度があります。

新型コロナウィルス COVID-19

抗体検査キット

新型コロナの抗体有無を調べる

抗原検査キット

新型コロナの陽性/陰性を調べる

簡単に10分で検査可能 医療機関の納入実績多数

当日発送

※平日12時までの決済完了で即日出荷